平成27年度『住職学研修』

去る3月9日、平成27年度の『住職学研修』が行われました。
私たち僧侶にとって書は欠かすことのできないものであり、その書にもっと関心を持ってもらいたいという想いから、能代市・倫勝寺ご住職の山田晃一老師をお迎えして『寺院における毛筆体の実際』と題してご講義いただきました。

講師の山田老師(書号:山田欅庵)は、毎日書道展審査会員、東方展同人、朝聞書会評議員、秋田書道展覧会では審査、秋田県美術展覧会では専門委員をされており、曹洞宗や秋田県を代表する書家であります。

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まずはじめに、ご自身が書を志した経緯や、どのようにして書の道へと進んだのかをお話しいただき、そして、寺院において書が使われるものについて(血脈・塔婆・過去帳・拝表等)、資料と共に実際に書いたものを用いて、書き方や字体を丁寧にご説明いただきました。晋山式で使う旗や五如来旗も実際に使っているものをお持ちいただきました。

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それから、実際に私たちも筆を使って普段書いているように戒名用紙を書き、その後に王羲之の「東方朔画賛」や歐陽詢の「九成宮醴泉銘」などを手本にして書きました。皆真剣に机に向かい、会場には坐禅堂にも似た凛とした空気が流れていました。そして、その後もう一度戒名用紙を書きました。すると、最初に書いたものとの違いを感じる人が何人もおり、真似て書くことが字の上達へと繋がることを感じることができました。

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山田老師は「臨書(手本を見て書くこと)は、書家はどの人も何歳になっても続ける。そのことによってたった1本でも “この線” というものを見つけることがあるからだ。」そして、「よく見て写し書きをする。心を柔らかくして真似ること、それが早く上達するこつです。」とお話されました。

これは、書だけではなく私たちの生き方にも通ずるものではないでしょうか。良い生き方、良い行いをしている人を真似て自分のものにし、それが本物になっていく。まさしく同じことだと思います。

書への取り組み方、上達するためには何をすればよいかをご講義いただき、何よりも山田老師が普段どのように書いているかということを見せていただけたことが、私たち若い僧侶にとっては貴重な時間でした。そして、書を通じて生き方を学ばせていただいた気がします。

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文・栗谷大三 WEB委員