平成29年度『随聞会』

日程:平成30年2月22日(木)
会場:曹洞宗秋田県宗務所 禅センター
講師:曹洞宗国際センター所長 藤田一照老師
講演:「一日摂心」 −坐禅は出家の姿−

藤田一照老師

今回の随聞会は「一日摂心 ―坐禅は出家の姿―」と題し、会員36名の参加を得て開催されました。講師は曹洞宗国際センター所長・藤田一照老師です。老師の著『坐禅読本―身心の調う道―』を事前に予習しての随喜でしたが、その内容を既に目から鱗の落ちるような思いで読みました。どのような講義が受けられるか、楽しみにして当日臨みましたが、予想を遥かに超えた有意義な機会でした。

冒頭、〝人間杭ワーク〟と題し、二人一組になって体を伸ばして解きほぐしました。戸惑いながら臨みましたが、師の説明を聞くと、人体の構造を綿密に分析して考え出されたものと分かりました。

講義が始まり、「坐禅の起源である釈尊の成道までの過を、もっと徹底して知るべき」との事でした。〝それぐらい、とっくに知ってる〟と思ったのも束の間、自分が《個々の逸話を覚えている》程度だった事に気付かされました。その後も高祖大師の『正法眼蔵』『普勧坐禅儀』―宗侶なら皆覚えている名文を深く深く掘り下げていきました。「典座は料理人ではない。《人参を切る》という行為は同じだが、典座のそれ修行たらしめているものは何か?」という問題提起は、そのまま坐禅に繋がっていくと考えました。

人間杭ワーク

間にまたボディワークが挟まれました。左右の指紋同士を意識してピッタリと合掌すると、両腕を引っ張られてもなかなか引き剥がされませんでした。指同士がしっかりくっついているのが実感できました。

ボディワークに臨む菅原会長

また、二人一組になって筋肉や関節をリラックスさせました。私は幸運にも老師と組んで体感することができました。姿勢を正す時、背骨ばかりを意識しがちだが、むしろ内臓を中心に考えるべき、《背中まっすぐよりお腹まっすぐ》と気付かされました。

「今日はあくまでも〝補修〟。本当の坐禅は皆さんがそれぞれ実践していって下さい」と老師はおっしゃっていましたが、この補修を受けると受けないとでは、その後の坐禅に格段の差が出るのは間違いないと感じました。今回は新たな事柄を学んだのではありません。宗侶なら誰もが持つ知識や経験を深く掘り下げ、それらがいかに重要かを《気付かせて》頂きました。同時に、それらが当たり前過ぎるが故に難しいという事実も思い知らされました。師の言葉を借りれば「面白かった映画を人に勧めるように」自分も坐禅を実践し、有縁の人々に伝えていきたいと思います。

文・広報部員 佐々木耕志