足湯プロジェクト報告(新川師)

asiyu

秋田曹青・災害復興支援部・副部長(渉外担当)の新川です。
先日ご案内の“足湯プロジェクト”について、ご報告いたします。

既にご承知の通り、被災地での支援メニューとしては定番化している
感もありますが、ガス・水道の復旧もままならず入浴へのニーズに応え
きれていない現状をわずかでも緩和できればとのことで、秋曹青として
は初の試みながら、岩手曹青さんのご協力もいただき下記の通り実施
して参りました。

午前7時半、角館パワー(ホームセンター)開店と同時に大型ポリタンク
を積み込み、中沢宏哉師の先導で裏道を抜け、集合場所の駒ヶ岳観光
ホテルへ。
明石会長・久米副会長含む6名がお待ちかね、鶴の湯本陣へ。社長さん
や従業員さんもご協力の下、源泉汲み出し作業開始。
ポンプ有といってもなかなか作業がはかどらず、バケツ等を使っての人海
戦術で約2時間の作業、トラックのテールランプ破損のトラブルもありつつ、
鶴の湯さんの温泉まんじゅうを被災地への手土産に午前10時半頃出発、
途中遠野で支援物資荷下ろしを経て午後3時、会場の旧釜石第一中学校
避難所へ。

既にお待ちかねの岩手曹青の皆さんには、適宜連絡を入れていたとはいえ
到着の遅れを詫びつつ、準備開始。マスコミ(NHK他数社)も待ち構えている。
ブルーシートを敷き、プラ舟とイスを並べてお湯を注入、「鶴の湯」お膝元の
東源寺様お檀家の高橋鉄工所さんが急遽製作、薪を使っての湯沸かし装置
も点火して追い焚き体制も万全、被災された方々が次々と足を浸けると、
「あ~、いい気持ち」と和んだ雰囲気に。
同時進行でアウトドア用テーブルに設置した、お茶とコーヒーサービスの「ミニ
行茶」コーナーには、一時行列が出来るほど。久しぶりの急須でいれたお茶、
ドリップのコーヒーに、ペットボトルやインスタントコーヒーとは違った癒し効果を
再確認。

足湯コーナーの雰囲気
足湯コーナーの雰囲気
一時は行列ができるほど
一時は行列ができるほど

岩手曹青の阿部師、トラック提供兼運転手の進藤氏、新川の3人で、大槌町
の吉祥寺様避難所へ向かい、依頼のあった灯油をポリタンクで8つほど提供、
こちらでも足湯コーナーが大人気、お寺の境内ゆえ、また方丈様のお人柄に
よるところ大のアットホームな避難所で、先に浸かった人たちが手招きで、
「おいで、おいで!」と次から次へと足を浸す。
子どもからご高齢の方までみんなが助け合っている様子で、和やかな雰囲気
の中にも「今日、○○のせがれが△△の浜で見つかった」といったシリアスな
会話も時折見受けられ、これが被災地の現実であることを実感。

大槌町・吉祥寺様避難所にて
大槌町・吉祥寺様避難所にて

大槌から釜石に戻り旧第一中学校組と再合流、撤収作業終了は午後7時、
付近の石応寺様に差入れの果物をお届けして、釜石を後にする。
まだ停電のせいか街中は暗く、ガレキの陰が不気味に迫る。

途中、遠野の曹源寺様(4/1開設の岩手宗務所VCが置かれる場所)に
立ち寄り、ごあいさつかたがた今日のご報告、「車中でどうぞ」と飲物や
食べ物の差入れをいただき、被災地側の方からの頂き物に恐縮。
秋田道を経て、物品保管場所としてお引き受けいただいた大曲・見秀寺
様に立ち寄り荷下ろしし、各々の帰路につく。

反省としては、お湯の汲み出しの効率化と足湯開始後のお湯の入れ替え
(衛生面での配慮)、物品の保管・運搬などといったところでしょうか。
今後は作業の効率化を進め、また試験的に行った「ミニ行茶」の体制も
整え、被災者とのコミュニケーションや新たなニーズ把握などに繋げるよう、
気力とマンパワーを注いでいきたいと思います。
なお、マスコミ関連ではNHKの取材は知っていたものの、後でそれが
全国版でも取り上げられたとのこと、また翌日の秋田魁新報でも紹介
されています。ご参考まで。

蛇足ながら、マスコミとの付き合いに関しては様々なご意見があります。
「為すべき事を黙々と行ずる」といった、禅僧らしいスタイルも大切ですが、
決して自己宣伝的な意味で紹介してもらうのではなく、今回のように全面
協力いただいた鶴の湯さん等、関係各位に御礼とご報告の意味も込め、
また今後の被災地支援に繋げるヒントになるようなきっかけとなれば、との
思いがあります。
何かを続けよう、つなげようと思うなら、可能な限り然るべき形で広くお伝え
する方法を考えることも必要かと存じますので、ご理解の程お願い申し上げ
ます。                              合掌