1/17,18 第7回ボランティアバス報告

・日時:1月17・18日(火・水)
・参加者:久米弘道会長、赤石基彦事務局長、佐藤善廣師、佐々木孝洋師、新川泰道師、他一般からの参加者7名、SVA岩手事務所スタッフ古賀久恵氏、更に現地で合流の佐藤久男氏(NPO法人蜘蛛の糸理事長)はじめ岩手・青森・東京・大阪から参加の自殺対策関係者9名、総勢22名
・活動地:17日…吉祥寺様(大槌町)、18日…龍泉寺様(山田町)
・活動内容:行茶活動、表札書き、および「いのちの総合相談会」運営補佐

今回は「いのちの総合相談会」と題して、前回に引き佐藤久男氏とのコラボにより、経済問題や雇用、精神的ケアに関する様々なジャンルに対応する相談会を実施。

1日目

午前6時鷹巣出発、各地で参加者を乗せてお昼に大槌町到着、11月にオープンの「おらが大槌 復興食堂」にて昼食。津波被害を示す展示コーナーが隣接。更地に立つ仮設店舗に地元住民や工事業者、支援関係者などで賑わう。

昼過ぎに吉祥寺様着、相談会用のイス・テーブル配置やコーヒー・お茶サービスの準備、表札書きや県から委託された防寒下着等の配布などの体制も整う。
お寺の役員さんや梅花講員さんなどが告知に極力してくださったとのこと、徐々に来場者が訪れる。
案内は午後2時からとしていたが、2時半過ぎくらいにあらためてご住職のあいさつ、佐藤久男氏から主旨説明、表札書きの案内の後。各テーブルに分かれて相談対応。

佐藤久男氏より、この日の開催主旨を説明
佐藤久男氏より、この日の開催主旨を説明
この日も表札書きはフル回転
この日も表札書きはフル回転
完成した表札
完成した表札
和やかな雰囲気の中で
和やかな雰囲気の中で

仮設住宅には支援の目が向きがちだが、自宅が無事だったものの家族や仕事を失った方もおり、家の有無だけでは計れない被災生活の苦労などもあらためて伺い知れた。
3回目となる表札書きも段取りはスムーズ、今回は個人宅用の他に今日開設という「いかつり漁業組合」のオーダーも。

岩手曹青からも7名ほど参加、手作りのごま豆腐やプリンなどのお茶請けを提供していただき、たいへん好評であった。また我々にも「バスの中でどうぞ」とお茶ペットボトル一箱をいただいた。
毎回好評の藤原さん(秋田市)によるハンドマッサージ、また今回初参加の菅原さん(男鹿市)による血圧測定、青森から参加の「ほほえみの会」による切り絵体験と、多種多様なメニューにより来場者とのコミュニケーションが深まる。
約50名ほどの来場者があり、和やかに、かつシリアスな相談ごとも親密な対応ができたものと思う。

午後5時には来場者も一段落し撤収、民宿「さんずろ家」(浪板海岸)へ。
翌日の会場となる龍泉寺ご住職も交え、今日の活動を振り返りながら情報交換。

浪板海岸の美しい朝日
浪板海岸の美しい朝日

2日目
宿を出発し、山田町へ。9時前に織笠の龍泉寺様到着。今日はあいにく葬儀と重なり当初予定の本堂から座敷にて会場設置。
本堂での葬儀と同時進行?ではあったが、来場者が訪れると会場はほぼ満杯に。
座机3卓の他にハンドマッサージ・血圧測定・表札書きコーナーと少々ぎゅうぎゅう詰めな感じではあったが、逆に親密感の増す雰囲気となったよう。

深刻な相談から、やがて笑い声に包まれる会場
深刻な相談から、やがて笑い声に包まれる会場
地元の見回りボランティアの方々も参加
地元の見回りボランティアの方々も参加

先月の訪問時に着物のリサイクルで作った綿入れはんてん配布の際、「和裁の布地や裁縫道具があったら…」との声を受けてお預かりした一式を提供、「仮設では手持ちぶさたなので、こういうものがあるとありがたい」との声をいただく。
更には「足踏み式ミシンがあると、仮設の集会所で和裁好きの仲間と集まれる」との声があり、調達を検討中。

和裁の布地や裁縫道具に興味津々
和裁の布地や裁縫道具に興味津々

お昼を過ぎて来場者も帰途につき、撤収と参加者による振り返り、また龍泉寺御寺族の「本当に悩んでいる人は、こういう場にも来れない。足腰の不自由な高齢者など、地元の私たちがもっと支えていかなければ」という声に、一同耳を傾ける。

来場者から「遠くから来たんなら、一度見ておきな」と言われ、山田町・田の浜地区に立ち寄る。津波で無残な住居跡と、高台で被害を免れた家々の対比が複雑な思いにさせられる景色に、一同声を失う。通りがかりの女性から、周辺の被災当時のことを丁寧に説明していただいた。

大槌町の風景
山田町・田の浜地区の風景

「道の駅やまだ」で遅めの昼食、ささやかな経済復興の一助としてお買い物のひとときを過ごし帰路につく。

今回は初の試みのせいか、具体的に経済や雇用の踏み込んだ相談という雰囲気ではなかったが、複合的な被災生活の苦労を話し込まれる姿があちこちで見られた。
多重債務など経済問題については弁護士・司法書士による相談窓口も既に各地で実施されているが、被災地のお寺もまた「何でも話せる場所」というメッセージが発せられたとすれば、今後に向けた意義ある機会となったように思われる。
「相談会」というスタイルにはまだまだ考慮の余地があるが、継続的な実施が望まれる。

追記
両寺院とも3/11(日)に震災一周忌の追悼法要を計画中、法要随喜やお手伝いがあればとのこと、当方でも検討してまいります。