この度、お釈迦さまの足跡を辿る、秋田県曹洞宗青年会主催「釈尊六大聖地巡拝の旅」に参加させて頂く機会を得た。今期テーマ『出家を問う』の集大成となる大事業である。僧侶なら1度はお釈迦さま所縁の地を訪ねてみたいものだと漠然と考えていたが、こんなに早々に実現するとは思わなかった。
初めて降り立ったインドは、「混沌」。
毎日が驚きの連続であった。
バスの車窓から見る人々の暮らしぶり、
町を歩けば寄ってくる子どもたち、
鳴り止まないクラクション、
バラエティ豊かなインドの食事、
どれもが刺激的で生活力に満ち溢れていた。
一見質素な暮らしに見えても、それが不幸であるとは限らない。
むしろ、清潔で豊かに見える私達日本人の方が多くの問題を抱え行き詰まっているのではないか。
本当の豊かさとは何なのか。
そんなことを自問した。
仏跡では、遥々訪れた一つ一つのお釈迦さまの足跡を前に感慨深く手を合わせ、皆で諷経を挙げた。
特に印象的だったのは、霊鷲山から見た朝日と爽快な眺望だ。お釈迦さまが説法をされた場所で、念願の梅花流詠讃歌「高嶺」をお唱え出来たことも感無量であった。
ブダガヤでは、チベットやタイを始めとする世界各地から集まった仏教徒らの一心に祈る篤い信仰の姿にただただ心を打たれた。
そして、最終日に訪れた早朝のガンジス川も忘れることが出来ない。
どこを切り取っても一つの絵になるような、朝日に祈る沐浴の風景は、地球が続く限り延々と繰り返されていくのだろう。
早朝から6〜7時間のバス移動、中々大変なことであった。しかし、皆大きく体調を崩すこともなく、無事にお釈迦さまの足跡を辿る「環」を完結させ帰国することができた。この経験を折に触れて檀家さんや皆に伝え、仏教に対する理解を深めてもらえるように努めていきたい。
今回の旅行に際して心よく送り出してくれた家族、終始きめ細かなサポートをしてくれた添乗員さんや現地ガイド・ドライバーの方々、そして思い出深い旅を共にした青年会のメンバー諸師に改めて深く感謝したいと思う。
由利本荘市 圓通寺 近藤俊彦 文