能登半島地震 救援活動に関する情報から
編集:新川泰道(秋曹青ボランティア委員)
(文中の下線は編集者による)
※本文は4月6日現在で入手した情報より抜粋したものです。現地の状況は刻々と変化しますことをご了承下さい。なお、広域の被害状況・救援活動に関する情報などは、最下部のウェブサイトをご参考にして下さい。
発信元:レスキューストックヤード
発信時刻:3月30日18:05
【避難所でのつぶやき】
・ 赤紙のお年寄りが「家の中の物を取りたい、中に入りたい」と3回相談にいらっしゃった。なかなか赤紙は家に入ってはいけない、ということに納得してもらえ なかった。民生委員会長さんの説明により制度的な面では理解するも、「役場行っても紙を書かされ、ここでも紙を書かされ、結局何にもしてもらえず、紙どま りか・・」とこぼし、心情的には納得いかない様子であった。
・災害発生時から、「私は大丈夫」と気丈に振舞っていたお年寄りが「困った時はお互い様。あんなに怖い思いもしたんだから、こんな時ぐらい我慢しないで甘えても大丈夫なんですよ」という語り掛けをすると、声をつまらせ、タオルで顔を覆っていらっしゃった。いろんな思いを腹に収めながら、毎日本当に我慢されていることを感じた。
・ 富山在住だが、この震災のため母親の家が被害を受け、現在母親と共に避難所で生活されている60代の息子さん。発災直後、家が隣の家に倒れかかった。隣人 よりすごい剣幕で「早く家をつぶしてくれ!」と言われ、行政からの調査が入る前に取り壊しを決意。電気を止めなくては作業ができないということで行政にか け合うも対応が遅く難航し、やっとの思いで手続きをした。
現在は更地になっているが、軽い認知症のある母親にはまだ十分な説明はしていない、と涙ながらに民生委員さんに語ったとのこと。民生委員さんもその話をしながら、目に涙をためていらっしゃった。
※安心して泣ける場所、一緒に傍らで泣いてくれる人が必要なのだと感じた。そのためには被災 された方のペースに合わせた働きかけができる人が必要だと思われる。今後は定期的なお茶会 などの開催や少し落ち着ける個室のようなスペースも必要と思われる。
発信元:被災地NGO協働センター
発信時刻:3月30日18:10
「中越・KOBE足湯隊」レポート1 能登半島地震救援学生ネットワーク事務局
中越・KOBE足湯隊として、輪島市門前町に入った7名プラス1名(1名は途中で増えました)は、今朝30日早朝から早速足湯マッサージの活動を始めました。場所は門前町の門前西小学校(約200名)と諸岡公民館(約100名)の2ヶ所です。
(中略)1回で5人の方が足湯されるのですが、あまりの人気で長蛇?の列になったそうです。避難所の責任者である輪島市職員は「こんなええもんやったら毎日でもやって!」(これ関西弁やけど)って言ってくれたそうです。
実はみなさん、足湯マッサージと言っているのでマッサージが評判だろうと思われるでしょうが、この活動のポイントは、被災者のストレスを吐き出して頂き、被災者の生の声を「聴く」ところにあります。今回の活動で若い人達が、足湯の師匠吉椿さんから、マッサージ手法もさることながら、「聴く力」を学ぶ機会になるだろうと思います。
(中略)足湯のボランティアは、ほぼ誰でも出来ます。とにかく、直後の余震に対する恐怖感、見通しのたたない数週間に、まず被災者の傍に寄り添うのはとても大事なことです。この足湯は、マンツーマンの体制がとれるというところがミソです。何故か、「たった一人をも見逃さない!」からです。中越復興市民会議のみなさんが2年目から「寄り添う事業」をはじめています。
発信元:レスキューストックヤード
発信時刻:4月2日0:00
■活動状況
○声かけ隊
・地元の婦人会の方より「在宅の人の見回りが全然できていないようなので、私たちで訪問したい」という申し出があり、3名の1チームを5組作り、町内一斉ヒアリングを実施した。
(一部は未だに対応できていない→明日行う予定)
★声かけ隊コンセプトは以下のとおり
1,被災地域の住民皆さんに声をかけることで元気になってもらう。
2,その会話を通じて、不安・不満・希望を聞き取る。
3,あげられたニーズから、解決するための活動メニューを考える。
【在宅にいる被災者の様子・声】
・災害ボランティアセンターの存在を知らない方が多数。
特に何をしているのかを分かっていない方が多い。(以下略)
発信元:全曹青ボランティア委員長 米澤智秀師 …3/28(地震発生の3日後)から現地入り
発信時刻:3月31日9:22
3月30日
金沢からのボランティアシャトルバス(3月29日〜4月4日運行)で一般ボランティアが多数現地入りする為、人数は足りているがニーズが足りない状況。特に土日は1000人以上が現地入り。混乱が予想される。
ニーズがないのではなく、住民から出てきていないだけ。ニーズ調査が必要。しかし、多数のマスコミ関係者や行政関係者、ボランティア関係者等々、普段は静かな門前町が騒然とした雰囲気で、被災者の方々の精神的疲労や他人への警戒心は強まっている。
(中略)総持寺の門前(お膝元)に住む信心深い方々には、地区外から来た一般ボランティアよりも、やはり僧形の我々の果たせる役割は大きい。剃髪姿の我々に、逆にわざわざ声を掛けてくれる方が沢山いました。
住民からの信頼感の違い、ニーズも聞き取りやすく、話し相手にもなり、心のケアまで繋がっていく活動が可能。ニーズもあがり、ボランティアやセンターにも貢献出来る。
地域の特色を生かした、地域に根ざした、僧侶だからこそ出来る社会的活動かと思います。
発信元:SVA木村さん@輪島ボラセン
発信時刻:4月1日9:00
輪島ボラセンで中心的に動いている青年会議所の人たちと飲みニュケーションしてきました。メンバーの一人から、坊さんが居れば活動しやすい、という意見が出たので、思わず「います!」と言いました。発言した方は今日門前に行き、住民は外部の人間に対して不信感を持っている中、僧侶が地域と繋がる役割を担う重要な位置にいることを痛感したようです。
発信元:全曹青ボランティア委員長 米澤智秀師
発信時刻:4月5日8:26
4月4日の状況です。
長野県第一青年会有志7名、門前ボラセンへ。
地元石川県日吉会長、星野師。菅間師(埼玉)。
全曹青:米澤・瀬田・長井・早船。
長野第一青年会有志は、午前4時出発で9時に雪の降る中到着、気合と熱意を感じる。
午前は、ニーズの聞き取り調査に。4月であるのに雪が降り(のちに雨)寒い一日。
屋外の作業は中止。片付けは屋内に制限された為、ニーズ少なく、待機の一般ボラは多い。2件ニーズ聞き取り。午後は、回って集めたニーズを同じ人が実行する(信頼安心感)。
(中略)15時、昨日同様、門前地区避難所3箇所でお茶の振る舞い。今日は珈琲・紅茶・ホットカルピスを準備。大変喜ばれる。ピアノが置いてある避難所(門前会館3階)では、新潟の小川会長がその腕前を披露。避難所にいる方々からも拍手が沸き起こる。
関係各位よりも継続を希望される。勿論継続活動を目指す。
石川青年会がカセットガス、やかん、ポット等を持参いただく。保管は祖院。快諾いただく。
「現地にお菓子を送るのはご遠慮下さい。お菓子を配布する事だけに振り回されてしまいます」
温かいお茶を出しながらほっと一息し会話。被災者の心に寄り添いながら会 話し、心境・苦情・改善すべき点等を受け止め(拾い)、ボランティアセンターに繋げていけば、センターへも多大な貢献が出来る。センターからも、「笹団子 が美味しかった。温かいお茶が嬉しかった」との報告があり評判は上々。活動終了後、地元ボラセンの赤坂さんと打合せ。趣旨・目的を説明。快諾いただく。期 待も感じる。
社協・民生委員さんとも協働しながら、高齢者・独居老人・障害者等要援護者への支援も視野に。支援が届きにくい方々へも細やかな配慮を。多数の方への配慮を目指す効率主義でなく、一人の不平不満・苦しみを逃さない事(神戸では仮設住宅での孤独死や自殺もあった)を目指すアドバイスを長谷部さん(神戸市長田区社協)からも受ける。
大本山総持寺祖院のお膝元で、地域の特性を活かし、僧侶の柔軟心溢れる社会的な活動が今、展開されようとしている。
以上の報告から強調すべき点
・「被災者」というひとくくりで対応するよりも、一人ひとりと向き合う姿勢が望まれている
・被災地の人々は、ボランティアといえども地域外の人間に対する警戒心や疑心暗鬼がある
それに対して、(門前地区は特に)僧侶に対しては心を開きやすい傾向がある
・地域とつながりを持ちながら救援活動を行う上で、寺院・僧侶の役割は重要
→ 平常時から、寺院・僧侶が地域とのつながりをいかに保つかが問われている
関連諸団体ウェブサイト
全国曹洞宗青年会
シャンティ国際ボランティア会(SVA)
震災がつなぐ全国ネットワーク
http://npo-aichi.or.jp/shintuna/
被災地NGO恊働センター(神戸市)
NPO法人 レスキューストックヤード(名古屋市)
全国社会福祉協議会 福祉救援・災害ボランティア情報